第11話|リリと過ごせる最後の一日

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2026年2月28日(土)

今日はリリと過ごせる最後の一日。


朝起きて、

いつものように話しかけた。


「おはよう。」


ご飯を用意する。


お水も用意する。


もう食べることも飲むこともないのに、

自然とそうしていた。


不思議だった。


昨日、虹の橋を渡ったのに、

まだ家の中にリリがいる感覚があった。


いや、

実際にいるんだけど。


生きていないだけで、

ちゃんとそこにいる。


だからだろうか。


想像していたより寂しくなかった。


もちろん悲しい。


でも、

苦しさから解放されたことへの安心感の方が大きかった気がする。


たまに撫でる。


猫吸いもする。


「かわいいね。」


そう話しかける。


昨日までと変わらない。


ただ返事がないだけだった。


そんな穏やかな一日を過ごした。


午後。


手土産を持って動物病院へ向かった。


病院へ着くと、

外でお母さん先生が植物に水をあげていた。


私たちの姿を見ると、

すぐ病院の中へ入っていった。


そして先生を呼んでくれた。


私は先生に伝えた。


「昨日、虹の橋を渡りました。」


「ありがとうございました。」


先生は多くを語らなかった。


でも、

きっと分かっていたと思う。


私たちの気持ちも。


リリがどれだけ頑張ったかも。


先生自身、

今までたくさんの猫を見送ってきたはずだ。


それでも、

どこか寂しそうな表情をしていた。


リリは病院が大嫌いだった。


でも最後の数週間、

本当にたくさんお世話になった。


だから直接お礼を伝えられて良かったと思う。


帰宅してからも、

私は何度もリリのところへ行った。


撫でたり。


話しかけたり。


写真を撮ったり。


明日の朝には、

いよいよお別れになる。


でもこの日はまだ、

リリと一緒にいられた。


だから私は、

いつもより少しだけ長く、

リリの頭を撫でていた。

(第12話へ続く)

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